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QUELO


戦国BASARA (チカナリSS/高校生現パラ)




流れる視界には新緑が拡がり、頬を撫でる初夏の風がわずかにほてった体に心地よい。
入学してから一年と二ヶ月。
これまで意図して外の景色に目を向けたことも無かった元就には、通い慣れた道を自転車の後ろから見る景色がまるで初めて見るもののようだった。
歩道の脇を流れる用水路、青々とした苗が風に揺れる水田、鮮やかな花を咲かせる歩道の生垣のツツジ、沿道で若葉を茂らせるケヤキ。
そんなものを元親が漕ぐ自転車の後ろから眺めていると、まるで違う世界に入り込んだような気がした。
そうして同時に、今自分が何故、殆ど話したことも無いこの男の後ろにいるのだろうかと考えていた。


決して真面目とは言い難い所業の元親が、テスト明けの登校日でも無い日に学校にいたのは単に日にちを間違えたからだったらしい。
「お、毛利じゃねえか、何してんだぁ?」
出逢いしなの第一声は、そんな気の抜けるような一言だった。
と同時に、この男が自分の名前を知っていたことに、僅かに驚かされた。
梅雨明けのよく晴れた午後。
図書室での自主勉強を切り上げた元就が昇降口に向うべく中央廊下を歩いていたところで、悠々と階段を降りてきた元親と偶然顔を合わせた。
明らかに此処にいることが不自然な中途半端な時間と、登校日でも無いことに違和感を感じながら、それでもその存在を無視して進めようとした元就が足を止めたのは、目の前を塞ぐようにして元親がその大きな体躯を近づけたからだった。
壁のように立ちはだかる男を、元就はと言えば、圧倒的な威圧感を物ともせず、臆することも無くただ真っ直ぐに見据えた。
まるで大人と子供程の体躯の違いを感じさせないその態度を、どう感じたのだろうか。
俄かに感じた緊張も束の間。
だらしなく下げた腰履きのズボンのポケットに両手を突っ込み、元就よりも頭一つ分ほど背の高い大きな体を猫背気味に丸め、そうして元親は、ただ進行方向にいたという理由だけで視線を向けていた自分を真っ直ぐに捉え、不意に、屈託の無い笑みを浮かべたのだ。
破顔して相好を崩したその顔は、黙していれば畏怖さえ感じさせる精悍な顔つきを、まるで頑是無い小さな子供のように見せていた。
その名前が他校にまで知れ渡る程に素行の悪い男とはとても思えないような柔和なその表情は、束の間、我知らず見入ってしまう程だ。
「登校日だと思って来てみたら誰もいねえんだもんな、参ったぜ。つうかあんた、こんな日にわざわざ勉強なんかしに来てんのか?はっ、物好きだな」
目の前で一方的に喋る男の顔をただ見上げながら、何故この男が自分に話しかけているのだろうかと、そんなことを考える。
一年の時は元より、二年になってからも同じクラスになったわけでは無い。
かと言って隣のクラスというわけでもなく、そもそも元親がどのクラスにいるのかも元就は知らなかった。
この男が委員会活動等をしている筈も無ければ、こちらは元就も同じだが、クラブ活動等に勤しんでいるわけでも無い。
全くと言っていい程接点の無い男が、廊下などで擦れ違ったことくらいはあるだろうが、殆ど初対面と言っても過言では無い自分と向かい合っていること、そうして、特別目立つわけでもない自分の名前を知っていることが不思議で仕方が無かった。
少し掠れた低い声で「毛利」と呼ばれることを何処かくすぐったく、けれどそれがどうしてか耳に心地よく、この声をずっと前から知っているような、そんな気さえ感じていた。
だからだろうか。
「こんな天気のいい日に勉強なんかしてたら腐っちまうぜ?」
決め付けられるようにそう言われ、不意に手首を掴まれて酷く強引に外へと連れ出された時も、
「何をするっ!」
そう口では抵抗しながらも抗えきれなかったのだ。
痩せぎすの細い手首を掴む大きな手の感触と熱い体温を感じながら、歩幅の違いをまるで気にしない足取りに半ばつんのめるようにして歩かされ、連れて来られたのは、普段であれば乱雑に自転車が溢れている、けれど今日は閑散とした自転車置き場だった。
波打ったトタン屋根に照りつける強い日差しのせいか、日陰になっていながらも何処か熱気の篭ったそこで、
「せっかくいい天気なんだ。ちょっと付き合え」
そう告げられた時の高揚感は、言葉では上手く言い表せない。
何故こんな自分に構うのか。
何故こんな自分を誘うのか。
わけも分からないまま、けれど何処かそんな強引さに惹かれながら、気付けば殆ど初対面の男の自転車の後ろに乗せられていた。
元親が跨がるとやたらと小さく見える自転車は、後ろに荷台のついた、所謂ママチャリと呼ばれる類のものだった。
人目を気にする年頃の高校生であれば、普通、もう少しスタイリッシュで格好のいいものを選ぶのでは無いだろうか。
しかしよくよく考えてみれば元親の格好は何処か無造作と言うよりも粗雑で、ようするに大して気にしていないのだろうということに思い至る。
それでも着崩した制服姿が計算されたように見えるのは、元の見場のよさの賜物なのだろう。
逞しい体や精悍で男らしく整った顔立ちの元親は、女生徒には元より、面倒見のよさからからか、年齢を問わず同性にも好かれている。
喧嘩っ早い性格や、隠しもしない喫煙、遅刻、さぼりの常習等、素行の悪さを補っても余りある魅力があるのか、まるで誘蛾灯のように男も女も引き寄せるこの男を、天性の人たらしだと、誰かが言っていたことを思い出した。
こんな自分にまで屈託の無い顔を向け、構ってくるほどの男だ。
そんな男の自転車の後ろに、四角四面にしか物事を考えられず、そのくせ合理的に物事を進める為には万に一つも容赦をしない、徹底的に冷淡な性格で決して人に好かれることの無い自分が乗っていることが不思議で仕方が無かった。
何故元親は、自分などに声をかけたりしたのだろうか。
そして何故、自分はそんな誘いを断ろうとしなかったのだろうか。
------否、本当は分かっている。
破天荒な元親の行動を疎ましく思いながら、けれども何処かで本当はそんな男が羨ましかったのだ。
違う世界を、見てみたかったのだと思う。
幼い頃から厳格な家庭で育てられ、優秀な兄を病気で亡くしてから、兄の代わりにと品行方正に努めてきた元就にとって、元親の型に嵌まらない生き方は眩しいばかりだった。
それ故にそんな男の存在を否定し、そして自分の存在を肯定していたのだと今なら分かる。
だがそれでも、元親の奔放さは惹かれずにはいられないものだった。
流れる景色を見やりながら、目の前の男へと視線を向ける。
広い、大きな背中だ。
そんな背中を包む洗いざらしの白いシャツが、バタバタと風を受けて膨らんでいる。
ズボンの外に出したままのシャツの裾が時折翻り、鞣した革のような褐色の肌が覗いた。
袖から伸びる腕は背中よりもさらに陽に焼けて黒く、そして逞しい。
もはや大人のそれと比べても何の遜色も無い男らしい腕の、けれど何処か歳相応な子供らしさを思わせる、かさついて白くなった肘に思わず眉根が寄る。
元就からしてみれば何が楽しいのか甚だ理解し難いことではあるが、この男が時折近くにある小学校の子供たちに混じって遊んでいるのを見かけたのは一度や二度のことではない。
大きななりをした子供のように無邪気にはしゃぐ姿は、その外見からは想像も出来ないことだ。
よくよく見れば、また何処かで子供のようにはしゃいでいたのか、有刺鉄線にでも引っ掻いたような赤いみみずばれが二の腕に細く刻まれていた。


「とぉーちゃーく」
不意に響いた声と急に止まった衝撃に俯けていた視線を上げると、そこはゆったりと流れる広い川の片岸に広がる河川敷だった。
駅までの道を左に折れた先に流れるその川は、近いとは言え、歩いて行くには僅かながら遠い。
そもそも、通学路から外れるそこは、日常生活では全く用の無い場所だ。
寄り付く理由も、拡がる景色を此処を渡る電車の車窓から見ることすらも滅多に無い。
「ほら、降りた降りた。くあー、いい天気だぜ」
追い立てられるように自転車を降ろされ、次いで殆ど乗り捨てんばかりの勢いで元親が自転車を降りると、雲一つ無い真っ青な空を見上げながら全身で大きく伸びをした。
その背中の、シャツの上からでも分かる隆起した肩甲骨から、引き剥がすように視線を外す。
盛夏にはまだ早い、けれどもう充分に夏と言える暑さと強烈な日差しの中で、時折吹き付ける風に足元に茂る草葉が揺れ、蒸れたような青い匂いが鼻腔をつく。
それは、普段感じたことの無い匂いだった。
何処までも広がる青い空も、全身を撫でていく風も、むせるような青草の匂いも、何もかもが初めて感じるものだ。
「しっかし暑ぃなあ。おい毛利、ちょっと待ってろよ」
相変わらずこちらの返事を待つまでもなく、大きな体で悠々と堤防を駆けて行く男の後ろ姿を見送りながら、元就は斜面を下り、静かに草の上へと腰を下ろした。
汚れることを厭うことなく草の上に座るのも初めてなら、こうして川の流れを眺めることも初めてのことだ。
強い日差しが水面に反射してきらきらと輝く様を、ただぼんやりと見詰める。
聞こえるのは、草葉を揺らす風の音と、遠くではしゃぐ子供達の声、そして堤防下の道路を時折走り抜ける車の音。
それらがまるでオブラートにでも包んだかのように一体となって、ざわざわと耳へと届く。
実に心地のよいひと時だった。
じわりと首筋や背中に汗が滲むこの暑さも、不思議と不快では無い。
それに僅かに堤防を降りただけでも、水辺に近いせいか、此処は随分と涼しく感じる。
それでも額に滲む汗に張り付く前髪を指で払いながら、元就はただぼんやりと目の前に広がる光景に見入っていた。


我知らず没頭していたそんな穏やかな時を破ったのは、ザクザクと草葉を踏み締める重い足音と、自分を呼ぶ男の掠れた低い声だった。
「上にいねえから帰っちまったのかと思ったぜ」
そう言いながら乱暴に隣へと腰を下ろし、破顔して見せる元親の生き生きとした表情に、束の間見惚れる。
逆光を背にする男の姿は、まるで太陽を背負っているかのような眩しさだった。
何度教師に注意されても元に戻すことが無いという鮮やかなまでの銀髪が、日の光に透けて水面のようにきらきらと輝いていた。
-----似合わないわけではないのだから、構わぬではないか。
それが立派な校則違反と知りながら、らしくもなく、そんなことを思う。
そうして細めていた目の前に、
「おら」
唐突にガサリとビニール袋が突き出された。
僅かに雫がついたそれを反射的に受け取って中を覗くと、そこには見たことも無いカラフルなパッケージのアイスの袋が入っていた。
そもそも日常の中でアイスを食べる習慣が元就には無い。
視線を向ければ、既に元親は手にした同じものの袋をバリバリと乱暴に破き、大きく開いた口にいっそ毒々しい程に真っ青な塊を放り込んでいる。
「やっふぁなふふぁこれらろう」
そうしてそう言った次の瞬間には、
「…かああぁぁーーーーっきたーーーっ!」
妙な奇声を上げ、眉間に深い皺を刻みながら握った拳で額を押さえ、呻いていた。
くるくるとよく表情が変わる男だと思う。
賑やか過ぎるそれが、けれど不思議と煩いとは感じなかった。
大きな体を丸めて蹲ったり、背後へと反り返ったりと、忙しなく動きながら呻き声を繰り出す男を横目に、元就はビニール袋から自分もアイスを取り、パッケージを破って中身を手にした。
既に表面が溶け始めている真っ青な塊を暫し眺め、思い切って口に運ぶ。
ニセモノのような匂いだけの甘ったるいソーダの味が口に広がり、そうして冷たい感触が喉を通って落ちていく。
初めて味わうそれに、余程不味そうな顔をしていたのだろうか。
横顔に視線を感じて俯けていた顔を上げると、アイスを片手に奇妙な表情を浮かべた元親が、じっとこちらを見詰めていた。
射るような強さを感じる、けれど今は何処か戸惑いのような色を浮かべる僅かに青みがかった不思議な色の瞳を見詰め返しながら、まるで深い海の底のような色だと、そんなことをぼんやりと思う。
と、不意に手に持っていたアイスの塊から溶け出した液体が、棒を伝って手首へと垂れていった。
「あ…」
声を上げた次の瞬間。
掴まれた手首ごと引き寄せられ、気付けば、垂れていた青い液体を元親の肉厚な舌先がべろりと舐め上げていた。
抵抗する間もあらばこそだった。
わけも分からないまま、ただ呆然と自分の手首を舐める舌先のざらりとした感触を感じ、そして何処か卑猥な動きを見詰めた。
掴まれた肌がちりちりと燃えるように熱をもっていく。
太い指が食い込んだ手首が痛い。
そうして舐め上げられた唾液が乾く間も無く肌を撫でる風が、やけに冷たく感じた。
どれくらいそうしていたのだろうか。
実際は、一分にも満たない短い時間だったのかもしれない。
だが元就には、まるで時が止まったような、そしてそのまま永遠にこの瞬間が続くような、そんな長い時間だった。
指先から感じる元親の体温と、濡れた舌の感触と、そして間近で見る意外にも長い睫毛だと分かる僅かに瞼を伏せた端整な顔と、それら以外の何もかもが遮断された感覚の中で、ぽとりと棒に残っていた食べかけのアイスが草の上へと落ちた音が唐突に、やけに大きく響いたのを聞いた瞬間、
「…っ!」
元就は弾かれたように、猛烈な勢いで立ち上がっていた。
溶けて落ちた欠片と、棒についたまま投げ出したアイスが草の上で無残な姿を晒している。
濡れた感触が生々しい手首の肌を、容赦なく風が撫でる。
そうして、唇の片端を僅かに引き上げて、悪びれずにあざとく笑う、男の顔-------


次の瞬間、元就は背中を向けて走り出していた。
堤防の急な斜面を駆け上がり、そして今度は堤防下の道路へと斜面を駆け下りる。
「おい、毛利っ」
背後から聞こえてくる声に無視を決め込み、ただがむしゃらにそこから離れる為に走った。
日頃から走ることなど無いせいか、すぐに息が切れる。
だがそれでも足を止めることは出来なかった。
舐められた手首の感触が生々しい。
元親にとってそれはただの戯れだったのかもしれない。
だが他人と触れ合うことの無い元就には、ただの戯れに出来ることでは無かった。
まるで口腔を犯されたような、それとも秘部を暴かれたような、そんな卑猥な感触だった。
子供のように無邪気に笑っていた男の、突然見せつけられた雄の顔に、心臓が撥ねてやけに煩い。
どうしようもなく、体が熱を持って仕方が無い。
吹き出す汗がシャツの中で背中を伝って気持ちが悪い。
汗に貼り付く前髪が鬱陶しい。
そうして、もう乾いた筈の手首の濡れた感触が頭から忘れられない-----


それが、元親という男が自分の世界に入り込んできた、最初の瞬間だった。





fin



そんなわけで、初チカナリが現パラってどうよと思いつつの高校生ものです。
制服高校生ものが読みたい衝動に駆られ、しかし思ったよりも自分が萌えを感じるシチュエーションの、というか学生ものが少ないことに愕然とし、なら自分で打ってしまえと突然打ち始めてしまったチカナリ現パラでした。
何気ない日常は、とんでもなく難しいと思い知りました……。
突拍子も無い出来事とか事件が起こっていた方が、そりゃ書くのは簡単ですよね。
何気ない日常って、ホント難しいです。
でもそんな何気ない日常が好き。
そんでもって制服高校生が大好きです。
久々に打った文章ですが、やっぱり思うようには進まなくて、おまけに暫く打ってないと文章って下手になるなあとしみじみ実感しました。
まあでも久々に打った割には、ちまちま進めつつも4日間というのは充分早い方ではないかなと(24時間あれば30ページくらいの本が1冊出来ていた昔とは違うけど…)
それにしてもやっぱり制服高校生ものは萌えの宝庫です。
田んぼと畑に囲まれた郊外の学校、自転車通学、近くに川原。
とりあえず、全部私の母校のイメージです。
オフィシャル学バサの設定とはちょっと違いますけど、毛利は名家の坊ちゃんで優等生、アニキは所謂不良だけどみんなに好かれている割といいヤツという感じ。
アニキ年下でもいいかなと思ったんですが、何となく今回は同級生です。
制服は何だろう、毛利だと絶対ブレザーなんですが、アニキは学ランの方が似合いそうですよね。
まあ今回は夏服なんでどっちでもいいんですけど。
私が書くとどうも毛利が可愛いげになってしまいがちです。
もっとツンツン容赦の無い感じがいいんですけど、でも何となく、世間知らずでぼんやりした毛利も好きだったりするせいか、気付くとこんなんになっていました。
そして相変わらず私が書く受けは台詞が少ない(笑)
近隣の高校で同じように悪さをしているのが政宗とか、一つ年上の幼馴染の孫一とは昔付き合っていて筆下ろしの相手とか。
とりあえずアニキは女関係はちょっと派手だったけど毛利に出会ってひとめぼれして毛利一筋になる感じです。
あ、ちなみに政宗は同じように悪さしているけど女の子とは全く無縁タイプ希望。
アニキと政宗は基本同じタイプで、でも決定的に違うのは女関係だと思います。
政宗はまだ男と群れていたほうが楽しいと思うタイプ(裏で小十郎が死守:笑)
ちなみに二人が食べているのは定番のガリ○リ君です。
学校帰りと言ったらやっぱりこれで。
中学時代、部活帰りに4本も食べて死にそうになったことを思い出します(笑)
そんなこんなで何かよく考えたら2年ぶりくらいに小説(というほどでもないですが)をUPしたのでじゃないかという、そんなチカナリでした。
お粗末様です。
ホントはいきなりチュウにしようかと思ったんですが、それよりも手首を舐めるって何かやらしくていいなと思ってこんな感じになりました。
ちなみにこれから続くぜい!的な終わり方ですが特に続きません(笑)
打ちかけの戦国時代のチカナリをどうにかしたいなあとちょっと思っていますが、まあこれもどうなることやら…という感じです。
でもやっぱりチカナリっていいなあと、そんなことを思った現パラでした。

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目玉焼きを未だに失敗する主婦が何処にいる、って、此処にいるんですねえ(笑)
今日の目玉焼きは…何だろう、いっそ前衛的?(笑)

そんなこんなでこんばんは。
2個で100円のコロッケを見つけて上機嫌で帰ってきた私です。
激安バンザイ。
そして家に着いてまたバンザイ。
だって家に着いたのが19時!
スバラシイこのキセキ。
たまには早く帰ってやるぜ!と思い切って帰ってきてしまいました。
毎日これくらい早く帰ってこられたらいいんですけどね。
読みきれていない戦利品を読んで、そしてちまっと原稿をやれたらなあと思いつつ、23時には夢の中に10000ギル。
最近睡魔が強烈過ぎてどうしようもありません。
昨日はやたら夜が長かったような気がします。
そんなわけで今日もきっとすぐに夢の中だと思います。
毎日寝るのが朝の4時で普通に仕事に行っていた数年前が懐かしいです。

携帯の中に打ちかけの文を発見。
何か勿体無いので中途半端にUPします。
ムクヒバ+ディノヒバの3Pにしようと思っていた話の冒頭です。
10年後設定、舞台はイタリア。
真っ青に澄み渡った空と青い海と白い家並みと。
そんな景色を思い浮かべて打っていたお話です。
昔なら1週間どころか24時間くらいで上げられたお話だと思います。
なんだかんだでこれも書きたかったんだけどなあ…。

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どこまでも真っ青なアドリア海を横目に、ボローニャペスカーラ線A14を走るフェラーリの助手席に乗った雲雀は、今日何度目かしれない溜め息を零していた。
もう幾度訪れたかもわからないこの地は、相変わらず空も海も、どこもかしこも青が眩しい。
来るつもりなど無かった。
だがそれでも、いつものように雄弁に甘い口説き文句を並べる男の誘いを断ることも出来ずに、こうして今彼の隣に座っている。
もう何度目かもしれない溜め息は、むしろそんな自分自身に向けられたものだった。
-----ほだされている。
甚だ不本意ではあるが、それでもいつの間にか、無下にその誘いを断ることが出来ない程にこの男の存在を受け入れかけている自分がいることは確かだ。
「昨日までは珍しく雨が降ってたから、今日は晴れてよかったぜ」
そんななんでもないことも甘ったるい口調で言う男の横顔を、雲雀は盗み見るように流した視線で見つめた。
緩やかにカーブを切るハンドルに置かれた、男らしい骨ばった長い指の大きな手はどこか余裕さえ感じられる程で、実際、その運転ぶりは、フィレンツェから此処までの長い道のりを快適に感じさせる程だった。
おまけに車中には自分と男の二人しかいない。
とても、部下が同乗しなければ生きた心地がしなかった数年前と同じ人間がの運転しているとは思えず、俄かには信じ難いことだった。
顔を合わせ、誘われた車中に彼の姿しかないのを見てとった時には頑なに拒んだことが馬鹿馬鹿しく思える程だ。
勿論雲雀とて人並みに出来ないわけではないが、それでも普段は人任せで殆どハンドルを握ることのない自分よりも上手いのではないかと認めずにはいられない。
初春の風をいっぱいに開いた窓から受けて金髪を靡かせるその姿は驚く程に堂々として、大人の男の魅力に満ち溢れていた。
-----憎たらしい。
ネクタイこそ締めていないが、今日のディーノの出で立ちはあまり見慣れていない黒のスーツ姿で、普段のカジュアルな服装とは違うせいでまるで別人のようだった。
僅かに光沢のある上質な生地に随所に遊びを施した縫製のそれはノーブルになりすぎず、けれど決して派手でもなく、華やかな彼の顔立ちを程よく引き立ててよく似合っていた。
シャツは第二ボタンまで外されて、惜し気もなく青い血管が編み目のように透ける首元を晒している。
体質的に日に焼けることのない自分とは違う、混じり気のない肌の白さは、彼が異国の人間であることを思い出させるのに充分だった。
細身ながらも決して貧弱さを感じさせない厚い胸板など、まさにこの国の男のそれだ。
触れると感じる高い体温も、自分とは違う。
-----何を考えている。
まるで無意識の内に考えていたことを振り切るように、雲雀は向けていた視線を車窓の外へと移した。
だがよく磨かれたスモークシールドのガラスに映る自分の姿をそこに捉えると、再びその視線を泳がせてしまう。
らしからぬ表情は、まるで何かに飢えているかのようだった。
それが何かなど考えるまでも無い。
だからこそ今自分は此処にいて、そしてこの男の纏う甘い空気をどこかで心地よいと思っているのだ。
「なんだ?さっきからじっと見て。なんかついてるか?」
視線を感じたのか、横目でディーノがそう問いかける。
「別に」
だが素っ気無く返すと、「そうか」と穏やかな笑みを浮かべて一つ頷くだけで、また視線は前へと戻ってしまった。
それとも俺に見惚れてるのか?
以前なら決まって口にしていたそんな軽口さえきかないことに、どこか寂しささえ感じる自分をらしくないと思う。
そんならしくない自分に辟易しつつ、雲雀はディーノとは反対側の窓の外へと視線を向けながら、おもむろにその理由を口にした。
「あなたがそんな恰好してるなんて珍しいから見ていただけ」
「そうか?最近は割とこんな感じだぜ。人と会う機会が多いから、ロマーリオがちゃんとしろってうるさくてかなわねえ。堅苦しくて好きじゃねえんだけどな」
途端に破顔したその顔に、いつもと違う服を纏いながら、けれどいつもと変わらない口調にどこかで安堵する。
結局、絆されているのだろう。

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骸のことが忘れられず、それでも10年もの間自分の前に姿を見せない男に痺れを切らし、甘い言葉を吐き続けるディーノに絆されてとうとう一線を越えてしまうところに骸が現れて3P。
ディーノに絆されていたのも事実なんだけど、ディーノとヤろうとすればいい加減骸も出てくるだろうという雲雀の策略だったりとかそんなんだったりするお話でした。
それにしても何だって10年後ディーノはあんなにエロくさいんだろうか(笑)
あんなフェロモンだだ漏れのくせに、声だけやたら爽やかってのが許せません…ギャップ萌えってやつかっ!(笑)

 『dieci』

先日のリアルマフィアで無料配布した、骸ヒバ前提のディノヒバSSです。
10年後設定になります。
原作の未来編のちょっと前くらいでしょうか。
イタリアの真っ青な空と、真っ青なアドリア海と、そして豪奢なキャバッローネの屋敷を書きたくて書いたお話です。
ちなみに既刊「uno」以降、骸は雲雀の前には一度も姿を現していません。
10年もの長い間会わずして想い続けることなんて出来るのかと思われるかもしれませんが、実際ハタチ過ぎれば10年なんてあっと言う間なんですよね(笑)
それにしても、やたらディーノさんの美貌っぷりを描写してしまいました(笑)
雲雀も骸も容姿としてはすっきりめのイメージなので、ディーノさんの華やかさは書いていて楽しかったです。
勿論基本は骸ヒバなんですけど。
三つ巴はこれの続きになる予定です。

ちょっと長めになりますので、本文は以下をクリックして下さい。



昔の使いまわしですが、お祝いの気持ちを込めて。
やっぱり跡部様には麗しいお花がよく似合います。
まあ私の描く花ではゴミのようですが(笑)
何だろなあ、跡部っていまだに特別な存在な気がします。
長く話を書いていたせいか、忍跡の2人って殆ど自分のオリジナルみたいな感覚になっちゃってるんですよね。
昨日久々にお気に入りの忍跡本を読みなおしていたんですが、やっぱり忍跡っていいなあと改めて思いました。
うちの忍跡も本当にたくさんの方に読んで頂いて、本当に嬉しい限りです。
私の書いた忍跡も、こんなふうに時々読み返して頂けたら嬉しいなあと思います。

以下、SSです。
「meltdown」設定(高校生忍足×検事跡部)の番外編という感じで、付き合って割とすぐの頃のお話です。
夏コミで配布した番外編よりも、もう少し前のイメージかなと。
久々に突発で打ってみましたが、さすがに1時間ちょいの時間ではこれが限界。
というか、久しくまともに文章を打てていない私にはスバラシイ快挙かもしれません(笑)




【「meltdown」番外編】


「参考書?」
「ん、欲しいのがあるんやけど、学校の近くの本屋に置いてなくって。ちょっと本屋行ってもええ?」
「別に、そんなこといちいち聞かなくてもいいだろ。時間あるんだし構わねえよ」
金曜の夕方、いつもの通りツタヤの前で待ち合わせをして、そうして向かった先は、いつもの店とは違う、裏通りにある品揃えの豊富な本屋だった。
会社帰りのサラリーマンやOL、それに学校帰りの学生達と、たくさんの人で溢れる店内は、ひといきれで息が詰まりそうになる。
人ごみは嫌いだ。
欲しい本があるなら、インターネットで探した方がよっぽど早いし確実だと思う。
それなのに、
『せやけど、自分の足で歩いて探して見つけた物の方が、手に入れた時の嬉しさが違う気がせえへん?』
いつだったか言われたそんな言葉が忘れられず、文句一つ言わずにこんなところまでついてきているのだから、どこまでも自分はこの男に弱いらしい。
「4階かと思ったら、3階やったみたいや」
ごめんな。
そう言ってエスカレーターを降りる忍足の後に続きながら、ふと、何とはなしに眼下の後頭部を見下ろしているうちに、指通りのよさそうなすんなりと落ちる黒髪の真ん中、僅かに左寄りに存在するつむじに、自分がこんなふうに忍足を見下ろすことなど殆ど無かったのだと気付く。
目線が僅かに違う程の身長差だけでなく、思い起こせば常に自分が前にいることの方が多かった。
いつだってこの男は半歩下がった後ろの、気配を感じ取れる距離にいてくれるのだ。
それを心地よいと感じるだけでなく、当たり前と思うくらい、いつの間にか自分の中の深いところにまでこの男は入り込んでいた。
そうして自分もまた、そんな男の存在を手放したくないと思っている。
いい歳をして十も年下の男に甘えているなど、少し前の自分には考えられなかったことだ。
だがそれでも、甘えずにはいられない甘さがこの男にはあるのだ。
ぼんやりとそんなことを考えていたからだろうか。
「跡部?」
「…っ!」
気配にも気付けず、不意打ちのように振り向いた顔の近さに思わず跡部は息を飲んだ。
だが次の瞬間には、僅かに見上げるような視線のやわらかさに縛られて、そうしてぶわりと込み上げた衝動のまま、手摺りに置かれた腕を掴んで足を踏み出していた。
「ちょっ、跡部?!」
突然の行動に、驚愕した忍足の声が背後から聞こえるも、それを無視してただひたすらに下階を目指してエスカレーターを駆け下りていく。
目的の3階ももうとっくに通り過ぎた。
そうして1階まで漸く降りると、人ごみを縫うように店の外へと一気に飛び出た。
途端に雪崩れ込むようにして耳に入り込む喧騒に、気付けばますます足が早くなっていた。
こんな喧騒の無い場所で、早く2人になりたくて仕方が無かったのだ。
僅かに首を捻って背後を振り返れば、掴まれた腕を引かれてつんのめりそうになりながら、それでも前を走る自分に合わせて走り続ける忍足の姿が目に入る。
その目を見るだけでもう駄目だ。
掴んだ手首の体温の高さにさえも----------欲情する。
目立つ制服とスーツ姿の男2人が走る姿に容赦なく向けられる好奇の視線を黙殺しつつ、人で溢れるセンター街を抜けて、真っ直ぐに駅を目指した。
スクランブル交差点の赤信号を待つのさえもどかしい。
早く、もっとこの体温に触れたいと思う。
だから、
「早くお前に触りたい」
唇を寄せて耳元でそんな言葉を囁くことさえ、何の躊躇いも無かった。
「っ!」
息を乱しながら、弾かれたように視線を向けるその顔が何処か子供っぽいことさえ堪らない。
昨日よりも今日。
今日よりも明日。
安易な言葉だと思いながらも、そうやって日ごと募る気持ちに際限は無いのかもしれない。
----------溺れているのだ。
それもどうしようもないほどに。
「参考書はまた今度一緒に探してやる。飯もまた今度だ」
睨みつけるようにいつまでも変わらない前方の赤信号を見詰めながら、隣にいる忍足にだけ聞こえるように、だから、と続ける。
そうして、
「今日は俺にしておけ」
囁くような声で、そう言った。





お粗末さまでした。
夏コミ配布の番外編といい、跡部の方がすごく忍足を好きなような感じですが、この設定だと10コも年上なので、それくらいガンガン攻めてもいいかなと思います。
そんでもってちょっと忍足がへたれっぽいですが、やっぱりそこは歳の差ってことで。
でもベッドの上ではこっちもガンガン攻めてくれるといいななんて(笑)
ちなみにこれは、前にネズミの国に行った帰り、身長差のある怪しげな若い男2人連れのエスカレーターの立ち位置を見て思いついたネタだったりします(笑)

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